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そう言えば俺達は、伊織にずっと守られていたんだっけ……
「「伊織……」」
あっ、尊と被った!!
尊も、同じ事を考えていたらしい。
俺達は互いに顔を見合せ、苦笑いしてから伊織に視線を戻した。
「伊織、ずっと俺達を守ってくれてた?」
「俺達に、気付かせない様にして……?」
伊織は、何も言わない。
「何で?」
「どうして?」
促しても、答えない。
「「伊織?」」
口を開こうとしない伊織に焦れて、俺達は再度促す。
ポスッと、俺達の頭に伊織は手を載せた。
「ボケたお馬鹿2人、放っておけないだろ?」
はい?
何だって?
俺の耳、調子悪いのかな……?
まさか、ねぇ?
なんだか、とてつも無い暴言が聞こえた気がするよ?
うん、確かに聞こえたね?
「「ひどっ!」」
俺達の叫びに、伊織は低く笑い出す。
「相変わらず、以心伝心やってるんだな?」
昔な……と、年寄りみたいに伊織は語り出した。
それは、俺と尊が出会った、小学校の入学式の日から始まる昔話だった……
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