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伊織は語る……
1つ下の都織より一回り以上体の小さい俺が、小さ過ぎる体でちょこちょこヒヨコみたいにいつも伊織の後をくっついて来ていたのに、ある時から、ピタリと付いて来なくなった。
それが、入学式の日……
しかも、その日からヒヨコの側に、訳の解らない子鴨が居る。
「えっ、子鴨って……俺!?」
思わず問う尊。
「たけちゃん……俺なんかヒヨコらしいよ?」
ピヨピヨ言いながら言ったら、どっちがマシだろうと尊は考え込んだ。
構わず、伊織は続ける。
「ずっと俺の後に付いて来て、ずっと俺が面倒みないといけないと思ってたんだが……」
俺は尊と言う親友を得て、勝手に巣立った。
「それでも初めのうちは、俺か和美狙いで和泉に近づいたのかと疑心暗鬼になって、尊に色々と攻撃してみたが、尊は和泉以外に全く興味なかったな?」
攻撃しても、攻撃して来る伊織と和美を素通りして俺だけに真っ直ぐ視線を向ける尊に、伊織は理解したそうだ。
「尊は和泉以外興味がない、和泉だけが尊の認める相手、と解った」
ならば、俺と尊が一緒にいても大丈夫だろう、と伊織は結論を出したそうだ。
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