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だが――と、伊織は苦々しい顔で続ける。
「そっとしといてやってくれれば良いものを、お前達に要らぬちょっかいを掛ける奴等が大量に出始めた」
そう言えばあの頃俺達は、同級生のみならず、上級生からも四六時中ちょっかいをかけられていたっけ。
年上からも人気のある、伊織と和美。
この2人と近しい、パッとしない平凡な俺と尊。
何でお前達みたいのが、2人と仲良いんだ、と蹴られた事もあった様な……?
小突かれたり物を隠されたりは日常茶飯事で、確か殴られた事もあった。
和美とは兄妹だし、伊織とは生まれた時からの幼馴染みだし、そんな俺と親友になった尊だって、尊の意思に関係無く2人と近しい仲になってしまったのだし……
俺と尊の責任じゃないよ?
「呆れる程にお前達は、他人に興味なかったな?」
うん、伊織の言う通りだ。
あの頃の俺達は2人で居る事だけが全てで、誰に何を言われようが、誰に何をされようが、全く興味なかった。
だがそうなると相手は面白くなく、エスカレートして、お前達はいつも傷だらけになっていた、と伊織は悔しそうに言う。
「不味い、と思った」
伊織の声は、苦し気だ。
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