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「やはり、そうか」
笑いながら、伊織は言う。
「親に言わなかったのも、お前達が虐められていると感じていないと解ったからだ」
よくぶつかられたり押されたり、色々言われて殴られる事もあって生傷絶えなかったけど……
「「あれって、虐めだったのぉ!?」」
「虐め、だったな、間違いなく」
きっぱりと、伊織は言い切った!
「ただの嫌がらせ、とかじゃなくて?」
「虐め、だ」
「「……」」
言葉が無い……
「そんなお前達だから、余計に心配だった」
虐めを虐めと認識しない、しかも2人だけの世界に浸っていて他人を寄せ付けない……問題を起こさない超問題児……当時の担任は、俺と尊をそう評していたらしい。
だから美原君、2人をお願いね?――と担任は、伊織に俺達の事を丸投げして押し付けたそうだ。
もっとも伊織は、頼まれなくとも俺達の面倒を見る気だったらしいが……
「お前達ときたら、知らない奴に平気でノコノコ付いて行くわ、遠足で2人だけえらく遅れるわ、もう目が離せやしない」
当時を思い出したのか、伊織お父さんは溜め息付きながら、こめかみを軽く揉んだ。
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