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指定された教室の戸は、しっかり閉まっていた。
物音は聞こえない。
誰か居そうな気配も、感じない。
悪戯だったのかな……?
「たけちゃん……開けて?」
「いやいや、いっちゃんにゆずるよ」
どうぞ、どうぞ、と押し付けあってた俺達は、背後の人影に全く気付かなかった。
俺と尊の間に、背後からヌッと腕が伸ばされた。
「「ヒッ!!」」
思わず短い悲鳴を上げた俺達を、その腕は無造作に教室の戸を開けて押し込んだ。
転がる様に俺達は教室に押し込まれ、ピシャリと戸の閉まる音を耳にした。
2人同時に振り返る。
閉まった戸の前には、かなり長身の姿が逆光で黒い影になって立っていた。
「「誰!?」」
俺達が同時に問い掛ければ、影の主は プッ っと吹き出した。
「本当に息があってるんだなあ、マジ、双子で通じるわ」
笑いながらのその声は、知らないものだ。
本当に誰だろう?
顔がわからないから、ちょっと怖い……。
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