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「和泉、ご免ね――ご免ね――」
謝り続けながら母さんは、今度は優しく俺を抱き締めた。
「和泉、いつまでたっても気付かないから、面白くて、可愛くって……つい調子に乗って……ご免ね、やり過ぎちゃった、ご免ね?」
「俺馬鹿だから、騙してて、面白かった?」
ちょっと卑屈になった俺の目を、母さんが悲しそうに見返した。
「違うよ、いっちゃん! おばさんはいっちゃんが可愛くて可愛くて、つい意地悪したくなっただけだよ!?」
尊の言葉に、肯定する様に母さんは頷いた。
「そうよ、いっちゃん。 お馬鹿なのは、綾乃の方なの。 綾乃はお馬鹿だから、大好きな息子を……大好き過ぎて仕方ない息子の愛し方が解らないで、間違ってしまっただけなのよ?」
うんうん、と必死に頷く母さん。
「母さん、俺、嫌いじゃない?」
「嫌いじゃない!! 和泉、大好きだよ!! 和泉は私の宝物なの、誰にも取られたくなくて、家に縛り付けとけば誰にも取られないって思って――ご免、ご免ね!!」
にゃる程、余分な金を持たなきゃ、家に居るしかないって訳だな?
子供か!?
単純な!
けど、俺、やっぱり母さんを嫌えないや――
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