六匹目 レッサーパンダは 微睡む!?

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お肉だ、お肉だ、ルンルルン♪ 伊織ん家で母さんと別れた後、焼き肉屋に行く前に荷物を片付ける事になり、尊の家に寄った。 尊の部屋の隣の客間が俺の部屋に決まったそうだから、迷う事なく部屋に向かい、お肉の歌を歌いながらドアを開け――立ち尽くした!! ぼとりと、俺の手からバッグが落ちる。 動かない俺を訝しんだ尊が、 「いっちゃん、入らないの?」 訊きながら俺の背後から、ヒョイッと部屋を覗き込み――絶句した。 動かない俺達の更に背後で、兄ちゃんズが笑いを堪えているのが解るぞ。 俺の目の前に広がる室内は―― 「さくら……?」 一面の桜の園? ぷるぷる頭を振った。 目の錯覚か!? いや、違う!! なんと!! うっすら柔らかい桜色の世界が、室内に広がっている!! しかも、ひらひらレースとわしゃわしゃフリルがいっぱいだ!! …… ……… 思わず俺は、ドアを閉めた。 くるりと兄ちゃんズを顧みると、大爆笑が始まった! 「諦めろ」 たか兄が言う。 「父さんは、和泉をそう言うイメージでとらえているみたいだよ?」 たく兄も言う。 2人共、ゲラゲラ馬鹿笑いしたままだ。
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