六匹目 レッサーパンダは 微睡む!?

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いつもいつも、伊織は待ってくれていた。 手を差し伸べるでもなく、ただ立ち止まって居るだけだけど、確かにそこで伊織は待っていた。 ぶっきらぼうに、黙って、立ち止まっていた。 なのに俺は、俺と同じ速さで行動する尊を見つけて、伊織の背中を追いかけるのを止めてしまった。 楽な道を選んだ俺を、勝手に離れて行った俺を、それでも伊織は見捨てなかった。 見捨てるどころか、尊まで抱えてくれた。 「やっぱり、伊織には敵わないや」 伊織って、苦労性なんだなぁ。 苦労させてる俺が言う台詞じゃないけど、伊織は意外と貧乏くじ引くタイプかも。 「そうか、伊織はお父さんじゃなくて、お兄ちゃんだったのか」 苦労性のお兄ちゃん。 感謝しないと。 俺、やっぱり恵まれてる。 良い人達に囲まれて、心配してくれる人達が沢山いて、なんて俺は幸せ者なんだろう。 しかも、尊と言う親友までいる。 母さんにも愛されちゃてたみたいだし、うん、俺って本当に幸せ者だ。 俺は、俺を助けてくれる人達に、何を返せるのだろう? どう、お礼をすれば良いのだろう? わからない……
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