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俺は、探さなきゃいけない。
俺を助けてくれる人達に、俺が出来るお礼を探さないといけないんだ。
見つからないかもしれない。
それでも、探そう。
皆はお礼なんていらないって言うだろうけど、俺はお礼をしたい。
だから、探す。
いつかきっと、ありがとうの言葉と共に、俺が探したお礼を渡したい。
弁当の用意をしながら、ぼんやりとそんな事を考えていた俺は、
「うっきゃーっ!」
と言う叫び声で、現実世界に呼び戻された。
叫び声は、尊のものだ。
うん、わかる。
目覚めたらおじさんがいて、びっくらぽん、したんだね?
「いっちゃん、いっちゃん、何処!?」
で、状況把握出来なくて、取り敢えず俺に助けを求めたけど、俺が居なくてパニクった、だね?
俺を探しながらドタドタと走り回る尊が、物凄い形相でダイニングに現れたのは、叫び声から5分後だった。
バタンと開いたドア。
俺を目にとめると、尊はぶわぁっと涙を流しながら抱き付いて来た。
「いっちゃん、いっちゃん――父さんが父さんが――」
「たけちゃん、俺も拉致られて、一緒に寝てたよ?」
ぴたりと、尊は泣き止む。
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