六匹目 レッサーパンダは 微睡む!?

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「タケ!! 和泉!! 何処に消えた!?」 「煩い!」 たく兄の怒声と共に、何かが何かに激突する物凄いガキンと言う音がした。 たく兄、尊の時は状況わかっていたから仕方ないと思って、尊が騒いでも許してくれたんだろうけど……おじさんの場合は、おじさん自体が元凶だから許さなかったんだね? おじさん……何を投げ付けられたんだろう? いや、無事だろうか? いや、無事のようだ…… 巽ーレックスが爆走している音と地響きが、段々近付いて来ているからね? バタン!!――ドアをぶち壊しそうな勢いで出現した巽ーレックスは、真っ黒なマグカップ片手に鼻息荒く俺達を凝視し――ぶわぁっと涙を浮かべた。 ああ、尊と一緒。 「拐われちゃったかと思ったよ~」 号泣しながら、おじさんはその場にへなへなと座り込んだ。 「自宅で俺達を拐うのなんて、父さんしかいないよ!」 プンプン怒りながら、尊が言う。 「パパ、だ! ちゃんと呼ばないと、タケの小遣い没収だぞ」 まだ続いていたのか、パパ呼び! 尊の口から、今まさに食われようとしていた朝定セットの焼き鮭が、ポロリと皿に舞い戻っていく。 暫し、尊はフリーズする。
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