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現在の尊の脳内は、『小遣い』 と 『パパ呼び』 を天秤に掛けてる最中だろう。
小難しい顔で、尊は考えている。
答え、決まっているけどね?
尊自身も、あっさり答えが出たようだ。
1分後には、
「……パパ、今度からは拐わないでよね?」
と言っていた。
「和泉が独りで寂しいだろうと思って……そしたらタケも焼きもち焼くかなって……」
おじさんによると、慣れない部屋で俺が独りで寂しいんじゃないかと気を使い、俺を巣に運ぼうとした。
が、そうなると実子の尊が焼きもちを焼く(おじさんの中では決定事項だった)。
だったら、尊も一緒に巣に運んじまえ――となったらしい。
幸いにも自分のベッドはキングサイズ、ちっこいのが二匹増えたところで、どうと言う事もない。
それが俺達を、巽ーレックスの巣に運んだ理由だそうだ。
「ふうっ~」
思わず、溜め息が漏れた。
「あのね、おじさん……」
「パパ!」
俺も諦めた方が良いみたいだ。
「あのね、パパ」
「何だい、和泉?」
嬉しそうに返すおじさんは、テーブルにマグカップを置き、椅子に腰掛けた。
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