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すっかり忘れていた、空缶激突たんこぶ事件!!
長い……
美人女将湯けむり殺人事件、喪服の美女は見ていた!!――みたいなノリだ。
尊のおでこを見ると、青と紫の痣がくっきり残っている。
つまり、俺も同じって事だろう。
痛みがないから、本当に忘れてた。
あっ、でも触ると痛いや。
「んーとね、空缶が当たったんだ」
尊が答えると、おじさんの顔が厳しくなった。
「まさか、虐めじゃ無いだろうな?」
虐めだったら、学校に乗り込んでやる、そんな勢いだ。
犯人は伊織です、とも言えないし……
「違う違う、ちょっとした事故だから」
慌てて誤魔化す尊は、流石におじさんの扱いを心得ている。
「本当か?」
こくこく頷く俺達に、半信半疑ながらもおじさんは納得してくれた様だ。
だが、おじさんもただでは引かない。
「休んで、医者に行くぞ」
なんて事を言い出した!
「やだ!!」
きっぱりと答えたのは――俺!
俺は、医者とか病院が大嫌いだ!!
「絶対行かない!!」
「いっちゃんのお医者さん嫌いは、どうしようもないねぇ~」
尊のぼやきに合わせて、困ったもんだ、とおじさんも言う。
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