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尊の家から学校までは、ゆっくり歩いて20分、自転車なら5分程度。
弁当が重いけど、苦になる距離じゃない。
「だから言ったでしょ、南は感謝すべき人間じゃないって!」
写メ抜きメールの件を尊に話したら、俺を落ち込ますほらみろ的な返答がきた。
「だってー、5千円もくれたし、頭撫でてくれたよー」
後ろから来る同校生達にどんどこ追い抜かれながらも、気にせず歩く俺達。
「いっちゃんはね、人を信じすぎ! もうちょい、疑ってもいいよ~」
「えー、でもさあー」
反論しようとしたその時、ひょいっと、本当に荷物を持ち上げるみたいにひょいっと、俺自身が持ち上げられた!
「「えっ!?」」
驚愕の声が、尊と被る。
当然だ、俺同様に尊も持ち上げられている。
「本当にトロイな、お前等」
頭の上から、声がする。
こ、この声は――!?
見上げた先に、呆れ返った南の顔があった!
「斗真じゃないけど、ホント軽いねぇー」
尊を持ち上げたままそう呟いたのは、神崎だ!
「「うきゃー、離せぇー!」」
喚く俺達は、そのまま運ばれて行く……荷物の様に……
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