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周囲からじろじろ見られながら学校まで運ばれた俺達は、下駄箱前で解放された。
「楽だったろ?」
言いながら、南は手を差し出した。
「「?」」
首を傾げると、
「タクシー代」
押し売りタクシーの代金を請求された!
「李杜、冗談も大概にしないと、伊織に絞められるよ?」
べしっと南の手を叩いた神崎が、その手を翻して俺達に差し出す。
「「?」」
「でも、やっぱり何か欲しいな? 和泉、美味しそうな甘い匂いするし」
カ、カツアゲだ!
しかも、神崎まで名前呼び!?
はあ~、まったく~
仕方ない、放課後のおやつに用意したクッキーを、少し分けてやるか……
今日も実習棟行くから、おやつ用意したんだよねぇ、非常食として。
今日のおやつは、昨日鹿野からゲットしたチョコで作った、チョコチップ・クッキー。
都織にも、届ける予定だ。
俺のおやつは最近よく狙われて、食べる前にすっからかんになるから沢山作ったし、予防策として小分けしてあるから、一つ二つあげても大丈夫だ。
「南――」
「李杜」
まだ拘るか、おじさんみたいだ。
仕方ないなぁ、もう。
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