七匹目 レッサーパンダは 躍る!?

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俺は小振りの紙袋を、先生に差し出す。 「なぁーに、これ?」 小首を傾げる先生は、うん、見た目はやっぱり美人だ。 「明日のお昼」 「えっ!?」 がさっと紙袋を開けた先生が、中のパンを一つ取り出し――うるうるしながら俺を見た。 「いっちゃん……」 先生は声を詰まらせる。 「いっちゃん、貴方って、貴方って――天使よ!!」 俺に抱き付こうとした先生を、尊が止める。 「あー、はいはい、時間ないからね」 「えー、たけちゃんノリが悪いわよ~」 「本鈴鳴っちゃうもの、環ちゃんと遊んでられないよ」 俺達足遅いし、と尊は言う。 確かに! 小走りで行かないと、SHRに間に合わないぞ! 「環ちゃん、日曜日分はないけど、大丈夫?」 「大丈夫、正義にたかるから♪」 にこやかに、先生は答える。 クッキー(担任)、お気の毒。 「いっちゃん、行くよ?」 嬉しそうにパンを抱き締める先生と、まだ言い争っている異種生命体二匹をそのままに、俺と尊は教室に急ぐ事にした。 急いで(俺達的に)保健室を出た瞬間、またもや背後から荷物の様に抱えられてしまった!
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