七匹目 レッサーパンダは 躍る!?

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「なんだ成瀬、まさかお前、クラスメートの上杉を知らなかったのか?」 クッキーに問われた俺は、後退ると同時にくるりと向きを変え、直ぐ横の自分の席に座り、机に突っ伏して顔を隠した!! 因みに俺の席は、廊下側の一番前、前面戸口の直ぐ傍だ。 意外と死角になりやすい、俺の一番お気に入りの席。 席決めの時、譲ってもらったんだ。 そして、左隣に尊。 尊も譲ってもらった。 「黒岩……これはどう言う意味だ?」 困惑しているクッキーが、俺を指差している気配がする。 「恥ずかしいんだよ~ あと、上杉君引っ張り出したのは李杜」 腕の間から様子を窺うと、尊がまだ上杉に抱えられていた。 「いや、結局は和泉が引っ張り出した事になる。 上杉、いい加減尊を下ろせ」 南に言われるままに尊を下ろした上杉は、何故かずいっとクッキーに進み寄る。 「保健室の亡霊じゃない、授業拒否児童」 独特の低ーい声で、あだ名を自己申告する。 やっぱり、尊の呼び方が気に入っていたようだ。 「児童って、お前……2メートル近い児童なんぞ、恐ろしいだけだぞ」 クッキーが呆れ返った。 確かに! 同感だ!
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