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「上杉……成瀬が憐れだから、離してやれ」
クッキーが言うと、上杉は背後からぎゅうぅと抱きついて……抱き……し、しヌ……
「家のいっちゃんに――」
上杉の馬鹿力に意識を飛ばし掛けている俺に気付いた尊が、声を荒げながらガタリと立ち上がり、ペンケース握って大きく振り被り――
「何してくれてんのーっ!!!」
怒鳴りながら、ペンケースを上杉に投げつけた!!
ボコッと音がした。
上杉の腕が緩んだ瞬間、俺は素早く引っ張り出された。
……何故か、佐伯によって、だったが……
俺を挟んで、佐伯と上杉が睨み合う。
何故だ!?
なんなんだ、この展開は!?
「猛獣共、落ち着け」
クッキーが溜め息ついて声を掛けるが、猛獣二頭はガン無視だ。
さすがに尊も、おろおろしてる。
よし、俺が頑張ろう!
佐伯は餌付けに成功しているから、なんとかなるだろう。
問題は、上杉だ。
何しろ俺は、上杉と言う人物をまったく知らない。
今わかっているのは、猛獣系の異種生命体で保健室の亡霊と呼ばれる授業拒否児童で南の友人らしい、と言う事だけだ。
……餌付け、出来るかな?
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