七匹目 レッサーパンダは 躍る!?

29/48
前へ
/3000ページ
次へ
仕方なさそうに、クッキーが言う。 「来月初めに、課外活動のハイキングがあるから、って事だ」 わかったか、と念を押してくる。 「ハイキング?」 「まあ、軽い山登りだがな」 「無理、倒れる!」 「全員強制参加だから、欠席は不可、だ」 うへぇ、マジですか!? 「上杉ぃ、お前も参加だぞ」 クッキーに言われた途端、上杉のあの低ーい声がする。 「不参加」 ……やっぱり? だがクッキーも、担任としてさすがに退かない。 「全員強制参加!」 「不参加」 参加、不参加で揉め始めた2人に、クラス委員長の南が口を挟んできた。 「上杉、成瀬と黒岩も参加するぞ?」 ピタリと止む、くだらない言い争い。 上杉がじーっと、俺と尊を見詰めてくる。 因みに上杉の席は、不良さんの指定席と言われる、窓側の最後尾だ。 俺とは、最も遠い席。 対角線上の最端に位置するが、あそこって……空いてたのか、知らなかった。 フッと視線を外した上杉は、そのままクッキーに視線を移動する。 「参加する」 低ーい上杉の答えに、教室内がざわめきに包まれた。
/3000ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1078人が本棚に入れています
本棚に追加