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しかも父さんは、俺の知らない、知る事の出来ようもない、かなり衝撃的な話を暴露した。
『和泉はね、本当なら生まれてこれなかったんだ』
と。
え?
まじ?
「なによ、それ!!」
和美が、ぶちギレる。
俺も、ぶちギレたい。
「和泉、ここにこうして、ちゃんと生きているじゃない!」
ほらほらほら、と和美は握っている父さんを、俺の顔に押し付けてくる。
若作り幽霊の父親とちゅーなんかしたかないから、俺は母さんの後ろに隠れた。
父さんは、母さんの胸にしがみ付く形になった。
「や~ん♥」
母さんが照れてら。
じゃなくて、
「なんなの、その『今、明かされる衝撃の、成瀬 和泉・誕生秘話!』みたいなのは?」
を、教えて欲しい所だ。
『え、だって和泉、和美に栄養全部取られちゃって、ミッシングツインになる所だったんだよ?』
母さんにしがみ付いたまま、父さんは軽い口調で答え……ミッシングツイン?
なにそれ?
俺の疑問に答えてくれたのは、
「双子の胎児の片方が、いつの間にか消えてしまうと言うやつだな」
やっぱり頼りになるお兄ちゃんの伊織さんだ。
って、俺、本来は消えてたの?
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