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『僕の事は良いとして、そろそろ語ろうか、和泉の謎を』
いよいよか。
とは、別に思わない。
語り部が父さんだと、どうも真剣さに欠けそうだし、多分おちょくりも入りそうだからね。
ささ、どうぞどうぞ、語って下さい。
『和泉自身の秘密の暴露話しなのに、なんか投げやりな感じがするんだけど?』
と言った父さんを、伊織父が逸美の座っていた椅子に下ろした。
その間も成長を続ける父さんは、今は30センチ位の大きさになっていた。
『先ずは、双子の秘密からだね』
とてりと椅子に座り、父さんは話し始めた。
『和泉と和美が綾のお腹に住み着いた時、同時に大問題が発生したんだ』
住み着いたって……
まあ、良いか。
で、大問題って?
『何の因果か。 はたまた、運命の悪戯か。 双子の片方に、有りとあらゆる「幸運」が集まってしまったんだ』
と言われて該当するのは、やはり和美の方だろうなぁ。
と、皆で和美を見たら、
「そんなに、ラッキーじゃなかったと思うけど?」
不満気に返した。
『そりゃ、当然だよ』
と言って、父さんは苦笑う。
「なんでよ?」
和美じゃないけど、俺も不思議だよ?
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