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『さっきも話した様に、そのままにしてたら確かに和美は幸運だらけの人生を歩んだろうけど、その反面、和泉の人生が終わってしまっていたんだ』
ああ、ミッツマング……
「ミッシングツイン、だ」
だったね、伊織さん。
『和美が幸運を得れば得る程、体力も運も無い和泉から存在感が失われ、最終的に和泉が消滅する事になっていたんだ』
と言うと、俺がミッシングツインになるのは、決定事項だったんじゃ……
『本来は、ね』
あらやだ、まじ?
『和泉は次の人生に重大な任務があったから、今回の人生はタイミング合わせみたいなものだから、それでも良かったらしいんだ』
……でも、俺、こうして生きてるよ?
『そう、それこそ、イレギュラーな運命の悪戯だった』
俺、イレギュラーなの?
産まれちゃ、いけなかったの?
ちょっと落ち込んでたら、
「いい加減にしてよ!!」
バシリと父さんが叩かれた。
「これ以上和泉を落ち込ませるなら、話しなんて聞きたかないわよ!!」
本気で怒っている和美によって。
でも父さんは、堪えない。
『ああ、ごめん! 言い方が悪かったね?』
とは言え、一応の謝罪はしてくれた。
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