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「いっちゃんのお気に入りの席なんだよねぇ~」
尊が笑いながら、付け加えた。
「一番目立ちそうな席なのに、一番目立たない席なんだって。 しかも後ろの席からは、ちゃんと黒板が見えるって」
「へぇー」
感心したような声を漏らしたのは、神崎だった。
「和泉って、変わった見方するんだね」
いや、普通だと思うよ?
「神崎の――」
「真澄ちゃんって呼んで」
ニコニコ、とっても良い笑顔で神崎が言う。
……
……俺の知らないところで、ちゃん付けが流行ってるのか?
「いっちゃん、それはないと思うよ」
えっ、だって上杉といい佐伯といい、終いには神崎までちゃん付けを強要してきたよ!?
流行りじゃないなら、なんでなの!?
「こうちゃんは、俺といっちゃんがそう呼んでいるからだと思うよ」
「さ、とーくんは?」
「こうちゃんに真似て、だよね?」
尊が確認するように、佐伯を見上げる。
「斗真のは、焼きもちだよ」
佐伯よりも先に、神崎が答えた。
「ひょっこり現れた上杉に、和泉と尊をとられそうだったしね」
……そこまで懷かれた?
喜ぶべきか、嘆くべきか……?
う~ん
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