七匹目 レッサーパンダは 躍る!?

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尊の頬に、そっと手を添える。 「ふひゅう~」 尊は奇声を発しながら、俺の手に掌を重ねた。 「いっちゃんの手、冷たくて気持ちいーい~」 「たけちゃんのほっぺた、あっついねー」 そこで俺は、額の湿布を剥がして、尊の右頬に貼ってやる。 ぷっ、と誰かが笑いを堪えながら吹き出した。 音のした方を見やると、クッキーが慌ててそっぽを向いた。 む゙〰とクッキーを睨みながら、尊の額の湿布も剥がして左頬に貼ってやる。 その瞬間、クッキーが盛大に笑い出した!! 「青丸! 紫丸! 二重丸ーッ!!」 教壇をバンバン叩きながら、大爆笑するクッキー。 何を、そこまで笑う? 確かに俺と尊の額には、青と紫で象られた缶の跡がくっきり残っているが、そこまで笑う程のもんじゃないぞ? しかも担任なら普通は、大丈夫かと労るもんじゃないのか!? それを大爆笑って……教師の風上にも置けない奴だ!! 額に青と紫のまだらの丸痣、両頬に湿布を張り付けた尊が、無表情にペンケースを手にした。 尊の双眸は、真っ直ぐクッキーを捕らえている…… 尊の迎撃システムが、発動しようとしている。
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