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黙ってよっと!
尊の動きに気付かず、まだ馬鹿笑いしているクッキー。
ふと上杉が尊の手からペンケースを取り上げ、代わりに何か赤い物を握らせ、スッとクッキーを指差した。
やれ!、と指示したようだ。
赤い物を握り締め、尊は大きく振り被り――力一杯投げ付けた!!
べちゃっ、と妙な音がする。
「……」
無言のクッキー。
その顔面が、ドロリと赤く染まっている。
ト――
「「「トマト!?」」」
一斉に上がるトマトコール!!
しかも、完熟トマト!
投げた尊自身、びっくりしている。
「こうちゃん、なんでトマトなんか持ってるの!?」
思わず、上杉に訊いてみた。
「昼飯」
あの低ーい声で、上杉は答えた。
「昼飯って、トマトだけ!?」
まさかと訊いてみたら、頷いた上杉はもう1個トマトを鞄から取り出した。
……よく入ってたな?
来週からもう1個、大盛弁当が必要だな。
今日の分は、なんとかしよう。
でも、何故にトマト?
「こうちゃん、トマト好き?」
上杉は少し首を傾げ、考え込む。
「適当に持って来ただけだろ」
南が口を挟むと、肯定するように上杉は頷いた。
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