八匹目 レッサーパンダは 謳う!?

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2時限目の最中、黒板をノートに写そうとして、突然尊が泣き顔になった。 その手には、シャーペンが握られていた。 気付いた俺は、替え芯を斜め後ろから渡す。 ぱあーっと笑顔になる尊。 ペンケースを投げた為、シャーペンの芯が粉々になったんだね? なんてハプニングはあったけど、休み時間毎に消えてた俺には、極めて平穏な午前中に思えた。 だがしかし、平穏は破られる…… 4時限目終了のチャイムと同時に――和美が現れた!! 「和泉ーぃ!」 すかさず上杉の後ろに身を隠し、 「い、和泉は只今で、出掛けております……」 鼻を摘まんで、居留守を使おうとしたが、無駄だった。 「そんな留守電――あるかーっ!!」 上杉の横から腕を伸ばして来た和美に、むんずと制服の襟を掴まれてしまった!! 「うきゃー!!」 じたばた足掻く俺を、和美は席から引き摺り出した。 止めようと手を伸ばし掛けた尊を、和美がギッと睨み付ける。 尊の動きが停止した。 和美相手だと、尊の迎撃システムも作動しないようだ。 助けは、望めない…… しかも和美は、物凄く怒り狂ってる!! 母さんの注意メールは、これか。
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