八匹目 レッサーパンダは 謳う!?

4/75
前へ
/3000ページ
次へ
家事しか出来ない頼り無い平凡な俺なんかと違って、全てにおいてパーフェクトなお兄ちゃんの伊織。 和美は小さい頃から、伊織には絶対口答えしない。 俺は伊織をずっと同い年の幼馴染みとしか認識してなかったけど、和美は逆にずっとお兄ちゃんと受け止めていた。 それは、実の兄たる俺が嫉妬したくなる位、確立された一種のインプリンティング――刷り込みに思えた。 俺のが本当のお兄ちゃんなのに……小さい頃はそう嫉妬した事が随分あったけど、どうしたって伊織に敵わないと気付いてしまってからは、嫉妬するのも止めていた。 そんな頃、尊と出会った。 和美のお兄ちゃんでいる事より、尊の親友でいる事を選んだ。 和美より、尊を優先した。 ああ、俺って最低…… 和美にお兄ちゃんらしい事、何にもしてあげて無いじゃないか! 今更ながらに気付くなんて、本当に俺って馬鹿だ。 母さんや和美に間抜け扱いされるのも、これじゃあ当然だよね? しかも伊織が俺にとってもお兄ちゃんだったて、高校生になってから気付くなんて、大ボケかましてたし。 その上、家事さえ放棄したら、和美が怒るのも当然だ。
/3000ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1079人が本棚に入れています
本棚に追加