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家事しか出来ない頼り無い平凡な俺なんかと違って、全てにおいてパーフェクトなお兄ちゃんの伊織。
和美は小さい頃から、伊織には絶対口答えしない。
俺は伊織をずっと同い年の幼馴染みとしか認識してなかったけど、和美は逆にずっとお兄ちゃんと受け止めていた。
それは、実の兄たる俺が嫉妬したくなる位、確立された一種のインプリンティング――刷り込みに思えた。
俺のが本当のお兄ちゃんなのに……小さい頃はそう嫉妬した事が随分あったけど、どうしたって伊織に敵わないと気付いてしまってからは、嫉妬するのも止めていた。
そんな頃、尊と出会った。
和美のお兄ちゃんでいる事より、尊の親友でいる事を選んだ。
和美より、尊を優先した。
ああ、俺って最低……
和美にお兄ちゃんらしい事、何にもしてあげて無いじゃないか!
今更ながらに気付くなんて、本当に俺って馬鹿だ。
母さんや和美に間抜け扱いされるのも、これじゃあ当然だよね?
しかも伊織が俺にとってもお兄ちゃんだったて、高校生になってから気付くなんて、大ボケかましてたし。
その上、家事さえ放棄したら、和美が怒るのも当然だ。
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