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仕方ない、皆でランチだ。
「たけちゃん、こうちゃん、机移動して?」
「和泉?」
不思議そうな和美に、伊織が笑顔で言う。
「良かったな、和泉がご馳走してくれるとさ」
パアッと笑顔になる和美。
うん、やっぱり美人だ。
用は済んだとばかりに、伊織は離れて行く。
ガタガタ机を移動して、5人分の席を確保した時、戸口から声を掛けられた。
「成瀬ー」
「何よ!?」
答えたのは、和美。
そりゃ、和美も成瀬だ。
「妹じゃない、成瀬兄の方だ」
呼び掛けたのは、鹿野だった。
ああ、約束の弁当を取りに来たのか。
「今、渡す」
机に次々と紙袋を置き、がさごそやりながら俺は小田切先生を見る。
俺の視線の意味に気付いた先生は、持参してくれた紙袋を机に置いた。
中からカップのデザートを2個取り出し、弁当2つと一緒に鹿野に渡した。
途端に、和美のブーイングが起きる。
「ちょっとちょっと、なんで鹿ちゃんが、和泉のお弁当貰えるのよ!?」
鹿ちゃん?
鹿ちゃん!?
「「鹿ちゃん!?」」
尊とハモッて、声を上げれば、鹿野は苦い顔をした。
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