八匹目 レッサーパンダは 謳う!?

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「兄妹揃ってろくな呼び方しないな、まったく!」 しっかり弁当を確保しながら、鹿野は不平を口にした。 「約束したんだよ、今日だけ弁当作ってくれるってな」 じゃあな、と鹿野は去って行く。 「和泉ってば、最近何してるの? 妙に、交際範囲も広げてるみたいだし」 心配顔で、和美は訊いてくる。 「大丈夫、悪い事してないから」 そう言ったら、当たり前でしょ、と叱られた。 机の上に、弁当は3個。 別に急遽用意したおにぎりと唐揚げ、上杉のトマトを使ったハムとトマトのロールパンサンド、更に今日のデザートは蜂蜜レモンゼリー。 用心の為、ゼリーは倍作った。 余れば先生が食べるだろうし。 「えーといっちゃん、おにぎりとか唐揚げとかパンとか……朝はなかったよね?」 尊が首を傾げる。 「作った」 「えっ、いつ、どこで!?」 「1時限目の休み時間に買い出しして、2時限目の休み時間に警備員室の調理場借りて下拵えして、3時限目の休み時間に作った」 「休み時間になると消えてたのは、その為か」 納得顔の尊。 警備員さんにお礼のおにぎりと唐揚げを渡したら、いつでもお出でと言われたのは内緒だ。
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