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「友達になったんだよ」
尊が、にっこり笑って言う。
「友達、ねぇ」
何やら、含みの有る和美の物言いだ。
「ねぇ、上杉」
和美に呼び掛けられた上杉が、不思議そうに和美を見やる。
「和泉と尊を、危険な目に絶対合わさないでよ?」
強く和美に言われ、上杉は少し間を置いてから、はっきりと頷いた。
「なら良いわ」
何が?
一体何で、危険なんて出てくるの?
俺の疑問なんぞ関係無いとばかりに、ゼリーまで食べ終えた和美は、
「ご馳走さま、またご馳走してね」
そう言って席を立ち、俺と尊の頭を軽く叩いてから教室を出て行った。
「成瀬さん、早食いね」
呆れ顔で、先生が言った。
そして俺を見て、溜め息をつく。
「で、いっちゃんは超遅食いの上に、少食ね」
まだ1個目のおにぎりと格闘している俺を、尊さえも苦笑いして見てる。
「昔っから、いっちゃんはそうなんだよねぇ~」
やっとおにぎり食べ終えた尊には、言われたくないぞ?
「どんぐりの背比べ」
ぼそりと呟いた上杉が、お代わりを要求する。
嬉しい位に、よく食べるね。
用意した甲斐がある。
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