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「いっちゃん、明日の土曜はこうちゃん家の掃除だね」
尊が、苦笑いしながら言う。
やっぱり、尊は優しいね。
俺が頷くと、上杉が嬉しそうに笑った。
が、また直ぐに悲しそうにしゅんとなった。
「晩御飯、無い……」
そして、あの言葉となる。
結局、巧い事小田切先生に載せられた訳だ。
食べにお出でと上杉に俺達が言った瞬間、してやったり、って顔をしたんだ。
俺も尊も、ピンッときた。
考えたら、先生が一生徒のプライベートを、他生徒にべらべら喋って良い訳が無い。
それを知らない先生でも無いだろう。
敢えて喋ったのは、上杉の事情を知った俺と尊が上杉の為に行動すると読んでいたからだろう。
「「環ちゃん」」
俺と尊は、ジトリと先生を見る。
「なぁに?」
ゼリーを食べながら、にっこり微笑み返す先生。
「「謀ったな!?」」
「や~ん、人聞きの悪い事、言わないで頂戴」
ホホホ、と取って付けた様な笑い声を出した先生は、ありがとうね、と付け足した。
そうか、先生は保健の先生だものね、上杉の体を心配してたのか。
ひねた頼み方は、性格だな?
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