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『まる』 だけで似顔絵描ける――と言って立ち止まった上杉、実習棟入り口の汚れたドア窓に、指でちょちょんと絵を描き始めた。
大小様々な丸を使って上杉が書き上げたのは、紛れも無い――たった今、ギャロップで去って行った校長先生の似顔絵だった!!
「「上手い!」」
思わず感嘆の声をあげてしまう程、校長先生にそっくりだ!
校長先生って、本当に丸い。
背はたぶん俺位(シークレットシューズを履いていると言う噂があるので、断言出来ない)、横幅は俺の3倍近くあるかもしれない位、丸い。
顔も丸い。
目もまん丸で、丸い眼鏡を掛けている。
ちょっと薄くなりかけた頭髪が、意外とチャームポイントだったりする。
なんだかとても愛らしい、まーるいおじさんだ。
それがそっくりそのまま、窓に描かれている。
「上手いねぇ、こうちゃん凄い上手だねぇ~」
頻りと感心する尊、今度パソコンに描いてもらおうと呟いてた。
あっ、俺もお菓子にチョコペンで描いてもらおうかな?
ケーキとか?
うん、いいね!
まるちゃん、と校長先生の愛称を追記した上杉作の似顔絵は、後にちょっとした騒ぎを呼ぶ事になる……まじで。
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