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尊も俺と同じ事を考え、感じていたみたいだ。
尊がすっと伸ばした手で、上杉の左手を宥める様に握った。
驚く上杉。
俺は鞄を持つ上杉の右腕に、空いてる左腕を絡めた。
更にビックリ顔で、俺を見る上杉。
俺と尊は笑顔で頷きを交わし、揃って上杉に笑い掛けた。
「「大丈夫」」
俺達のハモりに、上杉は首を傾げた。
「こうちゃんの良さは、伝わるよ?」
「そうそう、直ぐにみーんな理解してくれるよ~」
「だって」
「ねぇ」
「「こんなにこうちゃん、優しいんだもん」」
ねぇー、と尊と頷き合う。
そう、何と無く、上杉って人物が解った気がする。
見た目に似合わず、意外と繊細なんだって。
授業拒否は、その現れだと思う。
自分が授業に出ると、クラスメートに不快な思いをさせてしまうんじゃないか、自分も陰口言われて嫌な気分にならないか……そんな事を考えて、授業に出ないんじゃないかな?
「こうちゃん、周りの目が凄く気になるタイプでしょ?」
尊の問い掛けに、上杉は苦虫を噛み潰した様な顔になる。
当たり、だな?
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