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「しかも、他人の言葉にビクビクするタイプ?」
俺の言葉に肯定する様に、上杉は引き攣った表情のまま固まった。
なんてまあ、繊細な不良が居たもんだ。
南の言う通り、上杉はたか兄みたいな根っからの不良じゃあないね?
いや、不良なんて言うのも失礼な位、俺達より傷付き易い硝子細工の心の持ち主なんじゃないか?
しかも、ほんのちょっと接しただけの俺達にも直ぐ解る程、バレバレの繊細さ。
感受性もかなり鋭いんじゃないかな?
……もしかして、弁当を買えないって言うのも、それが要因だったりして?
いや、まさか、そこまで……あー、でも、無いとは言い切れない、よね?
「ねぇ、こうちゃん」
呼び掛けると、上杉は固まった体からふっと力を抜き、今にも泣きそうな顔で俺達を見返した。
不味い!!
誰かにこんな上杉の表情を見られたら、不味い気がする。
逸早く察した尊がすっと腕を伸ばし、上杉の顔を隠す様にその頭を自分の胸元まで引き下げて、抱き包む。
「いっちゃん、周りのチェック!」
「らじゃり!」
返して俺は、周囲の様子を窺う。
人影は無い。
中谷と鹿野も先に行ってて、とうに姿は見えない。
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