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「もう、本当に、皆していっちゃんに抱き付くんだから! いっちゃんは抱き枕じゃないのに、まったく!」
ぶつぶつぶつぶつ、尊お母さんは煩くごちる。
上杉が扇子で叩かれた額を、俺の方に屈んで向ける。
「?」
「痛いから、撫でて」
「!!?」
甘える上杉に、どびっくり!
「こうちゃん!」
尊が角出して、怒鳴る。
「たけちゃんは怖い、いっちゃんは優しいぞ!」
2メートル近い猛獣が、ぷんすか可愛く怒って抗議してる。
「こうちゃんが、いっちゃんに抱き付いたりするからでしょ!?」
背伸びをして、猛獣を躾る尊も、なんか可愛いぞ。
「か……」
ぷるぷる震えて、俺はぎゃいぎゃい騒ぐ2人を見詰める。
そして、ガバリと2人に抱き付き、ぎゅぅぅぅと抱き締めた。
「2人共――可愛いぃぃぃ!!」
「きゃあー!!」
と叫ぶ、尊。
「嬉しいぞー!!」
と叫んで、尊ごと俺を抱き締め返してくる上杉。
そんな俺達に掛けられた、とっても冷ややかな声。
「何をしてる?」
「「「あっ!?」」」
3人同時に顧みた先に、無表情でなんだか凄く不機嫌なオーラを纏った伊織が佇んでいた。
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