八匹目 レッサーパンダは 謳う!?

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「もう、本当に、皆していっちゃんに抱き付くんだから! いっちゃんは抱き枕じゃないのに、まったく!」 ぶつぶつぶつぶつ、尊お母さんは煩くごちる。 上杉が扇子で叩かれた額を、俺の方に屈んで向ける。 「?」 「痛いから、撫でて」 「!!?」 甘える上杉に、どびっくり! 「こうちゃん!」 尊が角出して、怒鳴る。 「たけちゃんは怖い、いっちゃんは優しいぞ!」 2メートル近い猛獣が、ぷんすか可愛く怒って抗議してる。 「こうちゃんが、いっちゃんに抱き付いたりするからでしょ!?」 背伸びをして、猛獣を躾る尊も、なんか可愛いぞ。 「か……」 ぷるぷる震えて、俺はぎゃいぎゃい騒ぐ2人を見詰める。 そして、ガバリと2人に抱き付き、ぎゅぅぅぅと抱き締めた。 「2人共――可愛いぃぃぃ!!」 「きゃあー!!」 と叫ぶ、尊。 「嬉しいぞー!!」 と叫んで、尊ごと俺を抱き締め返してくる上杉。 そんな俺達に掛けられた、とっても冷ややかな声。 「何をしてる?」 「「「あっ!?」」」 3人同時に顧みた先に、無表情でなんだか凄く不機嫌なオーラを纏った伊織が佇んでいた。
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