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「伊織、なんで此処に居るの?」
まだ俺ごと上杉に抱き締められたままの尊が、可愛く小首を傾げて伊織に問い返す。
うん、うん、なんで居るんだ?
「訊いてるのは、俺の方だが?」
伊織、不機嫌オーラがマックスだ!
あまりの恐ろしさに、尊が俺にしがみついて顔を隠した。
俺も尊にしがみついて顔を隠し、恐怖に震え出す。
上杉の腕の中でぷるぷる震える格好になった俺達を、上杉は優しく抱き包んでくる。
「伊織は虐めっ子だなぁ」
あの独特の低ーい声で、上杉はちょっと呆れた様に言う。
上杉……チキンでヘタレのくせに、伊織に意見をするとは凄いぞ!!
「こうちゃん、頑張れ~」
思わず声援したら、伊織に睨まれた。
「い、ず、み?」
……こ、この呼び方は、最大最悪に怒り出す直前の……ま、不味い!
不味いぞ!
「えい!」
上杉の腕から擦り抜けた俺は、勢いつけて伊織にしがみつく。
「今だ! 2人共、早く逃げろ!」
「「えっ!?」」
突然の俺の行動に、尊も上杉も反応出来ない。
呆然と、立ち尽くしている。
ぺしっと、俺は伊織に頭を叩かれた。
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