八匹目 レッサーパンダは 謳う!?

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「伊織、なんで此処に居るの?」 まだ俺ごと上杉に抱き締められたままの尊が、可愛く小首を傾げて伊織に問い返す。 うん、うん、なんで居るんだ? 「訊いてるのは、俺の方だが?」 伊織、不機嫌オーラがマックスだ! あまりの恐ろしさに、尊が俺にしがみついて顔を隠した。 俺も尊にしがみついて顔を隠し、恐怖に震え出す。 上杉の腕の中でぷるぷる震える格好になった俺達を、上杉は優しく抱き包んでくる。 「伊織は虐めっ子だなぁ」 あの独特の低ーい声で、上杉はちょっと呆れた様に言う。 上杉……チキンでヘタレのくせに、伊織に意見をするとは凄いぞ!! 「こうちゃん、頑張れ~」 思わず声援したら、伊織に睨まれた。 「い、ず、み?」 ……こ、この呼び方は、最大最悪に怒り出す直前の……ま、不味い! 不味いぞ! 「えい!」 上杉の腕から擦り抜けた俺は、勢いつけて伊織にしがみつく。 「今だ! 2人共、早く逃げろ!」 「「えっ!?」」 突然の俺の行動に、尊も上杉も反応出来ない。 呆然と、立ち尽くしている。 ぺしっと、俺は伊織に頭を叩かれた。
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