八匹目 レッサーパンダは 謳う!?

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あっ、でも俺、キャッシュカードって…… 「使い方知らない」 キャッシュカードを見詰めてぼそりと呟けば、 「俺も!」 元気に上杉が同調した。 伊織が呆れ返った溜め息を溢し、俺をちょいちょいと指先で呼ぶ。 「なに?」 歩み寄る俺に、屈んで伊織はヒソッと耳打ちした。 「それが暗証番号だ、忘れるなよ?」 俺は、お利口さんに頷く。 「使い方は、尊に教えてもらえ。 そこの巨大ボケ猛獣も、だ」 「そう言えばいっちゃんはいつも、おばさんから食費と一緒に現金でお小遣い貰ってたものねぇ~」 うん、キャッシュコーナーに立ち寄る機会さえなかったよ? 「俺も、落とすからって李杜がやってくれるから、カードなんて使った事ないぞ」 上杉……どうして偉そうに、胸張って言い切るの? 「尊、大小ボケ2人にちゃんと教えてやれよ?」 「わかった」 答えた尊の頭を撫でた伊織は、俺と上杉の頭をポンポンと叩いてから、くるりと背を向けた。 頭を叩かれて、上杉はちょっと笑った。 「通帳はおばさんが持っているから、足りなくなったら入金するそうだ」 立ち去りながら、伊織は言った。
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