1077人が本棚に入れています
本棚に追加
「ちょっ、怖いんだけど……」
鹿野がびびる程の熱い視線を向ける俺達に、鹿野は気付いた様に携帯を持ち上げる。
つられて俺達の視線も上がる。
鹿野は今度は携帯を右に動かし、俺達の視線もそちらに動き……
鹿野が動かす携帯通りに動く俺達の視線に、鹿野がニヤリと笑う。
黙って俺達のやり取りを眺めていた中谷に、鹿野は笑いながら声を掛けた。
「宏、これってまだあったよな?」
スッと掲げた携帯のストラップを、鹿野は指先で突っつく。
「えっ、ああ、姉さんが買い占めたやつ……。 買ったは良いが直ぐに飽きて僕に押し付けて……で、友明にあげたんだっけ?」
「何処かの動物園の限定販売品とかだったよな?」
鹿野の問いに、中谷は頷く。
その途端、俺と尊からゴゴゴッと音がしそうな程の怒りの炎が吹き出た(気がする)!!
「「お前の姉貴か!!」」
「ヒッ!?」
俺達の威圧感に驚き、短い悲鳴を上げた中谷は、慌てて鹿野の後ろに隠れた。
「「買い占めなんぞしやがって!!」」
沸き起こる怒りのみならず、あの時の悲しみさえも蘇ってくる……
.
最初のコメントを投稿しよう!