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「つうか、上杉までバンビ呼び!?」
「可愛いあだ名だから、良いじゃないか」
「可愛いって……」
鹿野が、俺と尊を見る。
つられて上杉も、俺達に視線を戻す。
ふーん、と鼻を鳴らす鹿野。
「上杉は、小動物系が好きなのか」
小動物って、あんた、間違ってるよ?
「「俺達、小さくないよ!?」」
「身長はな、まあ有るんだろうけど、細すぎ――じゃなく、動きっつうか雰囲気っつうか、なんかそこいらが小動物っぽい」
「「ひどっ!!」」
小動物なんて、初めて言われたよ!?
ショック!!
「まあ、こいつらの事は置いといて――」
鹿野は、真っ直ぐ上杉を見た。
さっきもだけど鹿野って、上杉を普通に見るね?
ふつーに、普通の高校生扱いしてるよね?
ちょっと、意外。
「そこは 『見直した』 と言うべきだ――上杉じゃなくて、こうちゃん」
「……こうちゃん、こうちゃんはバンビと喋ってて」
話し進まないから、と言ったら鹿野が口を挟んで来た。
「以心伝心は、余所でやれ!」
「「「えーっ!」」」
「知るか!」
抗議は、儚くもあっさり無視された。
鹿野は、上杉のみに視線を向ける。
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