1079人が本棚に入れています
本棚に追加
「上杉は何が目的で、こいつらにくっついてるんだ?」
真っ直ぐ訊いてくる鹿野に、上杉は少し考え込んでから口を開く。
「……飯?」
「はっ?」
「や、だから、飯」
再度の上杉の答えを耳にした鹿野は、クルッと勢いよく俺を見た。
並び立つ尊には目もくれず、ピンポイントで俺だけを見据えてる。
「また餌付けしやがったのか!?」
ひ、人聞きの悪い……
「餌付けなんか……した?」
「昨日といい、今日といい――お前、んなに餌付けしてどうするんだ!?」
……怒られた
しかも、鹿野に怒られた。
「エヅケナンカ シテナイモン サエキトコウチャンイガイ……」
ぼそっと言い返したら、鹿野に睨まれた。
「佐伯の事も、認めるんだな?」
認めたくない、認めたくないけど――事実だ!
確かに、佐伯の餌付けに成功してる。
渋々頷くと、鹿野は呆れ果てた顔つきになった。
「たちワリィ~」
「バンビの根性悪」
「あ゙あ゙!?」
また睨まれた。
俺は素早く上杉の後ろに隠れ、鹿野を覗き見る。
「成瀬……まさか、そうやって都合の悪い時に隠れ蓑にする為に、上杉を餌付けしたんじゃないだろうな?」
おお、その手があったか!!
最初のコメントを投稿しよう!