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「何にしろ」
ブラック尊は言う。
「いっちゃんに余計な知恵は付けない事、これは徹底事項だからね?」
鹿野は渋々頷いた。
俺……イタズラ盛りの幼児、ですか?
尊め、後で覚えてろよ!?
悪態付きながら上杉にぎゅうっとしがみつくと、手を回してきた上杉が俺の背中を宥める様に軽く叩く。
「不満か?」
上杉に訊かれ、俺は複雑な顔になる。
俺を守る為に尊が頑張っているから、不平不満を言える立場じゃない。
そうわかってる、わかっているけど……
尊ったらそんなに俺を守り過ぎると、俺自立出来ないよ?
尊お母さんは、甘過ぎだ。
「いっちゃんは、守られるのが嫌なのか?」
密やかに、上杉は訊く。
嫌じゃない。
嫌じゃないけど、早く自立する為にも、少しは突き放してもらった方が良い様な気がする。
じゃないと、一人で歩けない。
いつまでも狭い安全な世界に居るままじゃ、変われない。
「そうか……」
上杉は納得顔で、俺を見る。
「いっちゃんは、自分の世界を広げたいのか」
えっ、どう言う意味?
「だって、そう考えているんだろ?」
諭す様に、上杉は語り出した。
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