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たか兄そっくりな姿をしているが、少し背が低く細身なせいか繊細で知的に見えるたく兄は、ちょっと笑って椅子に腰掛けた。
「最初からお前達を伊織にぶつけたくて引っ張り込もうとしているのに、闘わない、じゃ納得しないだろ?」
うん、確かにそうだ。
「けどお前達は闘いたくない、というよりも闘えないよな、ヘタレだから」
「「酷い、事実だけど、酷い!!」」
べそをかく俺達に、たく兄は低く笑う。
「事実なら良いじゃないか。 まあそれを利用する訳だし?」
「「利用?」」
たく兄は頷く。
「ヘタレだから、面と向かって闘えない。だけど、それなりにやってはみるってとこだな?」
「「それなりって?」」
「和泉の得意な事は?」
「えっ、家事?」
「和泉が伊織に対して有利になれる事は?」
「弁当?」
たく兄は頷く。
「和泉の闘いかたは、弁当を作らないってのは、どう?」
「おう、兵糧攻めか」
口を挟むたか兄はこの際無視しておいて、俺と尊は身を乗り出してたく兄の次の言葉を待つ。
「尊は、伊織に対して有利になれる事は?」
「ゲーム…?」
尊の答えに、たく兄はちょっとだけ苦笑いした。
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