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「だからと言って、レッサーパンダが悪い訳でもないけどね?」
たく兄の言葉に、うんうん、と俺達は頷く。
「厳しい自然界では、ずる賢く生き抜いた方が勝者になる、腹黒くなれた奴程、勝ち組になれる」
だから――と、たく兄は低い声で笑う。
「2人も、レッサーパンダになろうか?」
「「レッサーパンダになる?」」
「正確には、レッサーパンダを見習って、2人も腹黒くなろうか?――っと言う事なのだけど――どう?」
どう、と問われても、こんな小心者の俺達が腹黒くなれる訳がない。
おやつでさえ、均等に分けられないと胃が痛くなる様な俺達には、無理な話しだ。
伊織も和美も、一個でも少ないと直ぐ気付いて、足りない分以上のおやつを、俺と尊から奪うんだぞ!!
つい最近迄、伊織のお母さんは、伊織と俺と尊と和美と、伊織の弟で一つ年下の都織(トオル)の5人分のおやつを、俺と尊に渡して分けさせていた。
何故か?――訊いたら 『あの3人だと、自分の分を優先して、均等に分けないでしょ?』 とあっさり答えられた。
信用されているのは嬉しいが、なんかちょっと、俺達ってこんなん?――って感じで……。
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