三匹目 レッサーパンダは 惑う!?

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「和泉……?」 和美が伸ばして来た手を、俺はぱしっと叩き払った。 こんな事、した事ない…… 例え指一本だって、和美を叩くなんて、した事なかった…… でも、今は、そうしたかった…… 凄く……頭にきてた……。 「和泉……?」 払われた手をそのままに、和美は恐る恐る俺の名を呼ぶ。 「……遅刻、するよ?」 俺は和美から目を反らし、お腹の中でぐるぐるしてる感情をなんとか抑えながら、そう言った。 ちらりと見やった壁の時計は、7時50分を指していた。 「和泉も遅刻でしょ?」 ハッとして、和美は言い返した。 「俺は良いの」 「良いって……休む気?」 「休まない」 要領を得ない俺の言葉に、和美はイラついた様だ。 「ほら、行くわよ!?」 そう言って和美は、鞄と弁当を抱え、パンをくわえて立ち上がった。 「俺は良いの」 「あー、もう、なら勝手にしなさい!!」 怒鳴った和美は、俺にビッと指先を向けて、 「兎に角、尊の家に行くなんて、許さないから!! 帰って来たら、じっくり話すわよ!!」 そう言い捨てて、出掛けて行った。
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