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尊と向かい合わせで寝ながら、額の痛みに目を瞑って耐えていたら、
「いっちゃん……」
尊に呼ばれた。
「なに?」
目を開けると、尊は辛そうな顔をしていた。
あぁ、あの事か……。
やっぱり尊には、バレちゃうか……。
「いっちゃん、話して?」
「和美を……叩いた……」
「いっちゃんが?」
うん、と頷くと、尊は俺の頭を優しく撫で出した。
「どんな風に?」
「和美が伸ばしてきた手をね、叩き払った」
答えた瞬間、尊が固まった。
「たけちゃん?」
呼び掛けると、尊は溜め息ついて脱力する。
「いっちゃん……それは 『叩いた』 うちに入らないと思うけど……」
えっ?
「でも、ぱしって」
「小さい頃、摘まみ食いして母さんにぺちってされたのと、似た様なものだと思うのだけど?」
えーと、それじゃ……
「和美に手を上げた事に……ならない?」
「ならないと思うし、和美ちゃんも手を上げられたとは思ってないよ、きっと」
「本当?」
「本当」
全身から力が抜けて……ほっとした。
俺は、約束を破ってなかった!!
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