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ティッシュで血を拭い、消毒液を探した。
消毒液の薬品くさいのと血の鉄の匂い・・・
その二つの匂いが鼻につんとくる。
『僕は一体何を・・・』
机の上にあったのは剃刀。
『そうか、この剃刀で手を・・・』
でも、僕は何でこんな事を?
ズキッと痛む手首に消毒液のついたティッシュをあて、
止血する。
痛い・・・痛い・・・・・・
僕は人から不要とされ、自分の命を捨てようとした。
でも、それはスグに捨てられるものではなかった。
---学校では一人寂しく、家へ帰っても誰も家にいない---
---親にも見離され、僕一人。---
僕は一体どうすれば・・・。
僕は考えた。
僕がこんな事をしているのは世の中のせいだ。
人を殺し、苦しませ、周りの人は助けようともしない。
こんな世界が僕を殺そうとしたんだ。
僕は怒った。
こんな世の中が、こんな世界を作る人間が
この世を支配しているからだ。
この世の人々が安心して暮らせるように
誰も自ら命を捨てないように
僕がこの世をかえてやる!この手首の傷に誓って!!
そう硬い決心を背に少年は家を出た。
少年は人々に呼びかけた。
人々を説得させるのには凄く時間がかかったが、
やがて、安心できる町が一つ出来上がった。
優しさの溢れる小さな町。
このままこのような町を増やし、幸せ溢れる世の中にしようと
もう一度手首の傷に誓った。
だが、それもつかの間だった。
この国を支配している奴が少年を許さなかったのだ。
少年は王に言った。
この世は腐っている。
誰かが必ず変えなければ
いい人間が誰一人といなくなってしまう。
王よ、どうか目を覚まして欲しい。
人を傷つけないでくれ。
人を殺さないでくれ。
腐った人間にならないでくれ。
僕みたいな不幸な人を増やさないでくれ。
次の日、少年は殺された。
幸せや、自由を手に入れるのには命を捨てる覚悟も必要だった。
しかし国は何も変わらなかった
人の命なんて国からすればどうでもいい話
自分さえよければと勝手な人間の国
この話はここで終わり
ある国の小さな町の悲しい物語。
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