かぜっぴき

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悟くんの匂いだけじゃ寂しさなんて紛らわせられなくなった時 帰るメールをくれたから 声が聞きたくって電話をした それからすぐに重い足取りで 玄関で待ってたら 走って帰ってきてくれたのか 息を切らした悟くんが現れた 困った顔した悟くんを見た時 怒られるって思ったけど ベッドに戻ると悟くんは 顔中にキスを降らしてくれる 「愁くん、寂しかった?」 「うん…」 「どうしてほしい?」 「いっぱいぎゅぅして?」 「良いよ?だけど先になんか食って薬飲もうな?」 強く抱きしめてくれた後 悟くんはキッチンに向かった 開けっ放しのドアから 何かしてる音が聞こえる 離れてても存在が分かるから さっきより安心かな? 「愁くん」 うとうとしてたみたい 悟くんの声が聞こえて 目を開けると トレーに何か乗せてる 「ごめんな、眠たいだろうけど 薬は飲もうな?」 「うん」 悟くんの手作りお粥は ちょうどいい温度で 火傷をしないようにしてくれてる いつも悟くんは なんにも考えてない感じだし 無茶苦茶なことだって仕出かすし 悟くんの都合を押し付けてくるけど こんな時はスゴく優しい だからつい甘えてしまう 「おいしぃ」 「貸して?」 「ん?」 ベッドに腰掛けた悟くんに スプーンを奪われて そのまま悟くんは口に運んでくれる 「悟くん…お腹いっぱい」 「半分以上食ったから良いか? じゃあこっちな?」 薬を見てしかめっ面になった俺に 悟くんはニヤリと笑って 「飲ましてやろうか?」 「だめ!うつる」 「いまさら?」 「今更でもだめなの」 彼の手から薬を奪って飲み込んだ 「良くできました じゃあ、ぎゅうしちゃる」 .
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