かぜっぴき

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. 飲みたくないって顔してるから 愁くんを煽ったらやっぱりそれに引っ掛かって薬を飲んでくれた それからは愁くんの希望どうり抱きしめると 隙間なくっついてくるから こちらとしては困りもんだ 唇はだめだって言うから 頬やおでこにキスをすると くすぐったいみたいで たまに笑い声が聞こえる だけどいつの間にか静かになった顔を見ると 幸せそうに寝てるから 安心してベッドから出ようと思ったけど 服を握りしめてるから 身動きが取れない しかし今日の愁くんは可愛かった あんなに寂しがるなんて無いのに… 素が出たのか? ここんとこ俺が合わせてやってなかったもんな 愁くんなら友達と楽しく過ごしてるだろう なんて勝手に思ってたのが間違いだったな たまには愁くんの時間に合わせてやるか 滅多にないこんな揺ったりの時間も良いかもしれない そう思ったら瞼が塞がってくる 何もしなくてただ抱き合って それでも良いやって思えるのって 愁くんが初めてかも 熱い体をもう一度抱き直したら そのまま眠ってしまったようだ 次に目を開けた時 ニコニコと笑って俺の顔を観察してる愁くん 「おはよ」 「おはよう、悟くん」 「体は?」 「もう大丈夫だよ?」 そう言う愁くんのおでこに 自分のを合わせると 普段感じる体温だ 「良かった」 「悟くん、ありがとね?」 「いいよ、お互い様だろ? 俺がもし風邪引いたら愁くん看病してくれる?」 「当たり前だよ」 「じゃ、ナースな愁くんでよろしく」 「………」 ふふ、困った顔してる だけど本気だし 「悟くん喜ぶ?」 「もちろん」 「なら…熱出した時だけだよ?」 意外な返事 俺の顔ニヤケてんだろうな 恥ずかしくなって 胸に顔を押し付けて隠れてしまった だから 「愁くんが居てくれたら良いよ」 ほんとそれだけで良いって思えたから .
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