かぜっぴき

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. 愁くんが来るのは久しぶりだって言うのに 目覚めると隣では少し呼吸が荒くなってて 薄っらと開けた目は潤んでるから やっちゃった、なんて思った たぶん俺だよな? 目の前は何も纏わず 素肌でシーツに包まってる愁くん 風呂に入れたのが俺の最後の記憶 久しぶり過ぎて互いに貪って ヘトヘトになりながも 風呂入れて…服着せてないんだよな まぁ、俺が原因だし 今日は一日着いててやろう って思ったのに マネジャーからの着信でそう甘くないって思い知らされた 行ってくる、って言ったら 目だけ出してて様子を伺って 「大丈夫だから」って口では言って “行かないで”って目で見られたら やっぱ置いて行けないって思ってしまう だけどここで休んでしまったら 愁くんを怒らす事になるから 心を鬼にして家を後にした 「急な変更で申し訳ございませんでした 本当にありがとうございました」 「いえ、僕は暇人なんで大丈夫ですよ」 申し訳なさそうに謝ってくるスタッフさんに挨拶を済ませて 帰る準備をしながら気になって携帯を取り出す ―今から帰るよ 寝てるだろうから返事は無いだろうと思ってたが すぐに電話がかかってきた 「愁くん?」 『さとるくん…グズッ…さとるくん…』 「愁くんどうした?」 『ふぇっ…さびしいよぉ…』 「わかった、すぐ帰るから」 また熱が上がったんだろうか? 急いでマネジャーに送ってもらって 辿り着いた玄関を開けると そこには座り込んだ愁くんが居た 「グズッ…おかえり、なさい…」 「ただいま、愁くんベッドに戻ろう?」 「ぅん…」 びっくりしたしこんな所で待ってたんじゃ 悪化してしまうから ほんとは怒りたかったけど 今の愁くんはうんと甘やかしてやらなきゃいけない気がした .
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