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「はぁ~~、顔が痛い」
ご主人は頬をさすりながら掃除機をかけつつ呟いた。
私はというと最近お気に入りの炊飯器の上で気持ちよく寝ていた。
「くそ‥‥。じゃれとる時は可愛いんやけどな」
『zzz…』
「………可愛い」
ご主人は猫好きなようで今の私の姿で鼻の下をのばした。
見ていないからわからないけれど、とても気持ち悪い顔だっただろう。
「さてと。日が暮れるまで時間あるな」
ご主人は言うと掃除機を片付けて私に近づいた。
「お~い。今から買い物行くけど何か買って欲しいもんあるか?」
『ん………。出かけるの?』
私は器用に炊飯器の上で背伸びしながら尋ねた。
「おう。買い物にな」
『なら私も行くわ』
「何で?」
『異様に大きいソファ以外何の変哲もない部屋に残されても楽しくないもの』
「それは言うたらあかんやつや‥‥」
ご主人は頭を掻きながら玄関へ歩いていった。
私は炊飯器から飛び降りご主人について行った。
玄関に着くとご主人は靴を履き靴箱の上にあった革製の首輪を手にした。
手慣れたようにご主人は首輪を私に着けた。
『やっぱり首輪をつけるのは慣れないわね』
「しゃーないやろ。俺らはそれ着けさせんとお前らの区別が着かへんねんから」
『ホント面倒ね』
「‥‥‥」
私が呟くとご主人はまた頭を掻いた。
マンションを出て左へ向かった。
私はご主人に頼み塀の上がっていた。
実を言うと私は外で体を動かしたかった。
家の中だけでは体がなまってしまう。
野良猫だった時と比べると運動量が半分以下になっていた。
食べる量はあまり変わらないからこのままいくと太ってしまう。
私も一応女の子なのだからそういうことには敏感なのよ。
私が体を動かせていることに上機嫌になっているとすぐにいつもご主人が行くスーパーに着いた。
ここでは激安タイムセールが有名でジャコ100g2円だったり大根一本5円だったりする。
ちゃんと商売出来ているのかここに来るといつも心配になる。
「さてと。今日も戦争に行ってきますか。お前はどうする?」
『ついに行くに決まってるでしょ』
「いやいや、スーパーに猫とかあり得んやろ」
『いつもご主人はキャットフードを間違えるからちゃんと教えてあげないと』
「そりゃすいませんでした」
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