猫の私とお買い物と旧友

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自動ドアへと歩き開いた瞬間に私はペットコーナーへ走った。 まだタイムセールまで時間があるため人は余りいない。 ご主人は私のダッシュに慌てて着いてきた。 「ちょっ、待てや!」 『人が多くなる前に用事済ませば、ご主人に迷惑はかからないでしょ』 「せやけど‥‥。お前、人前やのにしゃべってええんかいな」 『ハッ!!』 「しっかりしとるんだか抜けとるんだかようわからんやっちゃな」 『‥‥‥』 (しまった。私としたことが、浮かれてしまった) 私は慌てて口を閉じ目線だけで好物のキャットフードを指した。 他人には聞かれていないようだ。 ご主人はそれを取りいつのまにか持っていた籠に入れた。 タイムセールが行われるのは基本的に夕方の4時頃。 いざそれが始まると店内は必死の血相をしたオバチャンで埋め尽くされるらしい。 私は人混みは苦手なのでご主人がキャットフードを籠に入れたのを確認すると外へと走った。 「あんま遠くいきなや」 目だけで『分かってる』と言うと外に出た。 スーパーを出た私は近くにある小さな公園に向かった。 この時間帯ならば学校帰りの小学生が遊具なりで遊んでいるはずだ。 人は嫌いではないのだがどうも子どもは好かない。 一度石を投げられたことがある。 あれは本当に痛かった。 公園に着くと案の定小学生3人が追いかけっこをしていた。 が、一つ困ったことが。 ここに来たときいつも寝ている所に彼奴らはランドセルを置いているではないか。 パンダなどの動物が前後左右に動くあれだ。 夕方になるとちょうどいい日陰になって風が通り過ぎるといささか気分がいい。 (どうしたものかしらね。近づくと石を投げられるかもしれないもの‥‥。 余り離れるとご主人が五月蝿いし)
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